保護者が多忙のため練習につきあえない。それならば、文字が読めるようになった子どもたちが自分ひとりで弾ける教本が必要と考えて、「ピアチャレ」が生まれました。山本美芽が「練習しない子のためのピアノレッスン」にて提案した童謡を使った導入方法をさらに具体的な教材としたものです。
小学校の低学年の音楽教科書には、音符に「どれみ」の白抜き文字が入っており、器楽などの読譜をする場面ではドレミのカナふりが全国的に行われています。カナふりはピアノ教育、読譜指導においてタブーとされてきましたが、拙著
『音楽力を伸ばす「譜読み」の基本』でも述べたように、専門教育でなく幅広く一般的に広いすそ野を広げる音楽教育においては、文字を使った読譜は、五線譜への基礎作りとして積極的に使われてきた歴史があります。
この白抜きどれみ文字の入った五線譜の導入楽譜を、歴史と権威、伝統のある音楽之友社から出すことで、先生方にも保護者様にも安心して使っていただきたく思っています。見やすく使いやすく信頼できる楽譜づくりに関して音楽之友社は日本でも最高峰のスタッフを揃えており、そこのスタッフに子どもたちがひとりでも困らないために全力で作ってもらいました。
この本だけで五線譜は読めるようになりません。しかし、読譜の基礎となる音感・リズム感、そしてドレミの音名がしっかりと身に着けることができます。まずはピアチャレを繰り返し弾いて、歌を弾く、楽譜を見る、指を動かすことに慣れましょう。これが徹底反復による基礎の定着であり、これからの準備になります。
ピアチャレの曲が弾けるようになったら、既存の教本で少しずつドレミを読んで弾くことに挑戦してみてください。
ピアチャレを弾く前に比べて、ずっとスムーズに入れるはずです。
そして、ピアノをはじめたその日から、みんなの前で弾けるレパートリーを作るためにもピアチャレを活用してください。まずは誰もが知っている曲を1曲、弾けるようにしましょう。きっとみんなが拍手してくれて、「弾きたい」というモチベーションが高まるはずです。